|
《承前》 コンヴィチュニーに弄ばれた“曖昧な境界”というのが、ドレスデン の『タンホイザー』を観終わっての感想である。 彼が演出したいくつかのオペラの上演では「オペラの主人公などこの 程度のものだ」とばかりに、高貴なところから引きずりおろして素の 人間性を見せつけようようとする。ただ、それも“またか”と思って しまうわけで、ヴェーヌスの住人に嬌声をあげさせても、エリーザベ トに五体投地もどきをさせても、いちいち反応しない自分がいる。 第一幕、タンホイザーは十字架を象徴化したような剣を持ってヴェー ヌスベルクに流連ている。ヴェーヌスベルクの住人はタンホイザーの 持つ剣を見て嫌そうな素振りはするが、肝腎の十字架に“フォース” はなさそうだ。 ヴェーヌスベルクが消滅し、食べ終わった後の西瓜の皮のような世界 が割れると、そこに巡礼の一群が入って来る。彼らは床に倒れている ヴェーヌスベルクの女性たちを不思議そうに眺めているのだ。 おまけに、上の方を片翼の天使らしき牧童が歩いていくに至っては、 いくら“曖昧な境界”について考えても頭の中でまとまるはずもなく 下手な思索より音楽にと頭をシフトさせる。 タンホイザーが旧知の騎士達と戯れる様子は“タンホイザーと愉快な 仲間達”とでも言えるようで、このあたりもコンヴィチュニーの常套 演出のようなものである。いわゆる“普通”と言われるような演出を 常識的に受けとめている類の人には“おふざけ”と見えてしまうだろ う。自分自身も以前は多少の奇矯さへの許容が広かったのだが、少し ばかり許容が狭まってきているようで“うーむなあ……”と眺めてい たのだった。 <続く> 《クラシックのトピックス一覧》 |
| << 前記事(2007/11/26) | トップへ | 後記事(2007/11/27)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2007/11/26) | トップへ | 後記事(2007/11/27)>> |