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help リーダーに追加 RSS 音話§ゼンパーオパー『タンホイザー』[中]

<<   作成日時 : 2007/11/26 12:03   >>

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《承前》

コンヴィチュニーに弄ばれた“曖昧な境界”というのが、ドレスデン
の『タンホイザー』を観終わっての感想である。

彼が演出したいくつかのオペラの上演では「オペラの主人公などこの
程度のものだ」とばかりに、高貴なところから引きずりおろして素の
人間性を見せつけようようとする。ただ、それも“またか”と思って
しまうわけで、ヴェーヌスの住人に嬌声をあげさせても、エリーザベ
トに五体投地もどきをさせても、いちいち反応しない自分がいる。

第一幕、タンホイザーは十字架を象徴化したような剣を持ってヴェー
ヌスベルクに流連ている。ヴェーヌスベルクの住人はタンホイザーの
持つ剣を見て嫌そうな素振りはするが、肝腎の十字架に“フォース”
はなさそうだ。

ヴェーヌスベルクが消滅し、食べ終わった後の西瓜の皮のような世界
が割れると、そこに巡礼の一群が入って来る。彼らは床に倒れている
ヴェーヌスベルクの女性たちを不思議そうに眺めているのだ。

おまけに、上の方を片翼の天使らしき牧童が歩いていくに至っては、
いくら“曖昧な境界”について考えても頭の中でまとまるはずもなく
下手な思索より音楽にと頭をシフトさせる。

タンホイザーが旧知の騎士達と戯れる様子は“タンホイザーと愉快な
仲間達”とでも言えるようで、このあたりもコンヴィチュニーの常套
演出のようなものである。いわゆる“普通”と言われるような演出を
常識的に受けとめている類の人には“おふざけ”と見えてしまうだろ
う。自分自身も以前は多少の奇矯さへの許容が広かったのだが、少し
ばかり許容が狭まってきているようで“うーむなあ……”と眺めてい
たのだった。
                            <続く>

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