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初めてワーグナーの楽劇の全曲上演を体験したのは1981年のことで、 いきなり二期会の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』だった。 初めてオペラの実演を観たのがその前年のことで、見事なる初心者に してみれば、ずいぶんと無謀なことであったのだ。それもこれも常打 ちのオペラハウスなどなく、ましてやワーグナーの作品が頻繁に上演 されることなどない極東の国に暮らしているがゆえだからである。 欧米にでも居れば、最初は素直にバイロイト音楽祭で“オペレッタ” だなどと呼ばれている初期の3演目――オランダ人、タンホイザー、 ローエングリン――あたりから始めて、徐々に重い演目に挑戦、など ということもできるのだろうが、日本ではそんな悠長なことはできず とにかく眼の前にあるものを観るしかないのである。それはまあ、今 でも似たような状況であるのだが……。 というわけでワーグナー事始だが、最初が『マイスタージンガー』で 二つ目が『ジークフリート』という、恐ろしく重い演目になってしま ったのだ。 上演時間が5時間近いと聞いてさすがに不安になったものの、あれや これや悩んでも意味がないので、体当たり的に上野に向かった。まだ CDが普及する直前で、だからというわけではなかったのだがLPで オペラを、ましてやワーグナーをとまでは考えなかった。 結局、前奏曲しか知らない状態で『マイスタージンガー』の公演に臨 んだのである。 [続く] 《オペラのトピックス一覧》 |
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