|
[承前] 『マイスタージンガー』は、ワーグナーの楽劇の中でもむしろわかり やすい作品に属している。前奏曲に使われている主要モチーフが、全 編に使われていて音楽的にも聴きやすい。上演時間が長いという以外 には、さほど苦労はしなかった。 だからといってその時の二期会の上演の様子を覚えているかといえば 覚えてはいないのである。はっきり覚えているのは、ザックスをダブ ル・キャストで歌う予定になっていた木村俊光と平野忠彦の両名がキ ャンセルしてしまい、リハーサルの間“アンダー”で歌っていた若手 バスバリトンの松本進が急遽ザックスを歌ったということである。こ れは日刊紙にも取り上げられたりと、かなり話題にもなったのだ。 オペラ初心者でも、ハンス・ザックスという役がどれほどのものかは 想像できる。それを、ずうっとアンダーで歌っていたとはいえ本公演 の舞台で歌うプレッシャーはいかばかりかと思ったのである。 この公演で、何となくというかワーグナーの“毒”らしきものの餌食 になりそうな予感がした。ただ上演機会が徹底して少ないので、毒の 回りは遅く、翌年の『ジークフリート』まで待つしかなかったのは、 少しだけ幸いだったのかも知れないが、毒はじわりじわりと回りつつ あったりする。 [続く] 《オペラのトピックス一覧》 |
| << 前記事(2008/05/09) | トップへ | 後記事(2008/05/10)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2008/05/09) | トップへ | 後記事(2008/05/10)>> |