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洋の東西の発想の違いについて何度か書いたような気がする。1990年 代初め、まだヨーロッパでは足し算が優勢だった時のお話である。 イタリア・ヴェローナ円形闘技場の野外オペラに行った。そのうちの 一回は、安い当日売り(1枚1万7000リラ≒1700円)を買い、上段スタ ンドでバレエを観ることにしていたが、天候不順で2時間近く待った ものの結局中止になってしまった。雨と強風で、ベニヤ板のセットが 引っくり返るたびにスタンドの客がやんやの喝采という、何だかなお まけは楽しませてもらったが……。 で、翌日払い戻しとなってチケット持参でオフィスに赴いた。窓口で チケットを提示して返金を待っていると、係の女性が何やら言ってい る。聞き直すと「6000リラ(約600円)をくれ」と言っているのがわ かった。おやおや払い戻し手数料を取るのかと思っていながら6000リ ラを渡すと、チケット2枚の金額3万4000リラと6000リラを合わせた 4万リラが戻ってきた。 払い戻し窓口にしてみれば、3万4000リラという“半端”な金額を渡 すよりも、合算してきっちりした紙幣を渡すほうが合理的だという、 いかにも彼の国らしい発想でのやり取りだったのだ。 顧客に手間をかけさせるという、いかにも天邪鬼な発想でしかない。 もっとも払い戻しを受ける側が、その発想に見合う現金を持っていな いということもあるわけだが……。 我々日本人の常識では、物品とイコールの額を受け取るものだという 一点になるのだが、それとは逆の発想が眼の前で展開されると、何の ことかと相当に戸惑ってしまったのである 【去年の今日】人話§影響を受けた音楽家[4] |
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