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[承前] そういうことだから音楽を聴くのも歌舞伎などの舞台も、ある程度の 距離から鑑賞するというのが習い性になっている。 そういうことは“学習”して覚えたのだ。だからNHKホール1階の 最前列でベートーヴェンの第九を聴いた時など、直近の音しか聴こえ なかったり、自分の頭の上を音塊が飛んでいったりと散々な思いをし たのだ。 歌舞伎は、観始めた時から舞台全体と花道まで見渡したいという明確 な目的ができてしまったので、毎回それに沿った席を選んで予約して いる。 歌舞伎通いの長い人に聞くと、当たり前だが「あまり前で観るもので はないよ」なのである。顔のこしらえにしても、あれを一列目とかで 見ると、見えなくてもいい余分なものまで色々と見えてしまって、そ れは具合が悪いのだという。 要するに芝居にしても演奏会にしても、仕上がったものをいい塩梅で 楽しむべきものだから、それはそれなりの距離が必要ではなかろうか と思うのである。 ……と思っていると、中には“かぶりつき”が好きで、最前列ばかり に座るという趣味の人も少なくないから、世の中はわからないのだ。 【去年の今日】酪話§山奥のチーズ屋のチーズは |
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