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zoom RSS 精話§藤村実穂子リーダーアーベント

<<   作成日時 : 2009/03/06 08:22   >>

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寒い雪模様の夜、紀尾井ホールで藤村実穂子のリート・リサイタルを
聴いた。会場は満席でNHKのテレビカメラが入っていた。4月に芸
術劇場で放送される予定。

藤村実穂子(メゾ・ソプラノ)
ロジャー・ヴィニョールズ(ピアノ)


F.シューベルト・・・泉に寄せて/春に/ギリシャの神々/泉のほ
とりの若者/春の想い

R.ワーグナー『ヴェーゼンドンク歌曲集』

*休憩*

R.シュトラウス・・・私の想いのすべて/君は心の冠/ダリア/私
の心は黙り、冷たい/二人の秘密をなぜ隠すの

G.マーラー『リュッケルトによる5つの歌』
                  【紀尾井ホール 2009.3.3】


去年8月のバイロイト音楽祭で『パルジファル』のクンドリーを聴い
て以来だが、ドイツリートを、この精度とかレベルで歌える日本人を
聴いたのは、白井光子以来のこと。キーワードは……

“清澄”と“ストイック”

歌われるドイツ語も声のコントロールも見事なまでに整っていて安心
して音楽に身を委ねることができる。我々日本人にしてみれば、歌に
託した彼女の思いを推し量ることができる。ただ、これをヨーロッパ
の人間が聴いたら“何と禁欲的な……”という感慨を抱くように感じ
られた。

ドイツの音楽評論家あたりが、したり顔をして……

静謐な禅と能を想起させるドイツリート

……とか何とか書きそうな気がする。藤村実穂子の見事な歌唱は、だ
がしかし時としてモノトーンの連続となって“色彩”に乏しかったり
もする。まったく同じことを白井光子を聴いた時にも感じた。我々が
そのことを批判できるかといえば、それはできない。白井にしろ藤村
にしろ、強烈な意志で自分自身を律した結果到達した世界で、ある意
味では“何かを犠牲に”して自分のものにした、と想像できる。ただ
時にもう少しほっとさせてほしいなと思ったりもするのである。

ドイツオペラとドイツリートとその両方で、きちんと評価される日本
人歌手は彼女をもって空前絶後だろう。

女性歌手に限ってのことで書くが、藤村実穂子が歌う厳しいリートは
ここ数年の旅行で聴いた、例えばアンゲリカ・キルヒシュラーガーと
いうあたりより、よほど端正に聴こえてくる。同じ技量であるならば
西欧の人間のほうを選んでしまうのがあちらの音楽界事情であるにも
かかわらず、彼女が選ばれているのはこのスケジュールを見ればすぐ
わかることなのだ。

ところで、シュトラウスの3曲目『ダリア』は、ギルムが書いた詩に
作曲されているが、あくまでも“個人的な”感じとして詩の中の一人
称が、女性が歌っても“僕”であるかのように聴こえるのだ。以前、
同じギルムの『万霊節』をルチア・ポップが歌っているのを聴いた時
にそう感じて以来だが、気分的なものだろう。

ピアノ伴奏のヴィニョールズは、過不足なく歌にぴったりと寄り添っ
ての見事なサポート。彼女の歌に合ったデリカシーである。

この藤村実穂子に続いて、週末にはクリストフ・プレガルディエン
『冬の旅』を聴くというドイツリート週間になったのだった。

追記:アンコールが2曲歌われた。シューベルトの『夕映えの中』と
シュトラウスの『明日の朝に』。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
トラックバックありがとうございました。
藤村さんがヨーロッパでの引き合いが強いのはやはり一種の個性を強みにしているからではないかと思います。それは
「強烈な意志で自分自身を律した結果到達した世界」
とHIDAMARIさんが書かれていることそのものだと思います。
今回はまさに凱旋公演と言える素晴らしい内容だったと思います。
ピースうさぎ
2009/03/07 17:31
コメントをありがとうございます。

彼女の歌を聴いて常に感じられるのは“誠
実さ”だと思います。いつでも変わらぬ姿
勢は、まさに芸術の奉仕者だということを
感じさせます。

これからも機会がある限りは彼女の歌声を
聴きたいものだと思うのです。
HIDAMARI
2009/03/09 13:26

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