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zoom RSS 欧話§老後旅事始〜パルジファル[下]〜

<<   作成日時 : 2016/09/22 00:01   >>

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[承前]

2幕はクリングゾルの居城。壁面にはイスラム柄のタイルが貼られて
いる。上階の壁には彼が奪ってきた十字架が戦果として飾られている
のだ。

やってきたパルジファルは戦闘服姿でヘルメットには暗視スコープま
で付けていて、どう見てもISを掃討するためにやって来たとしか見
えない。そして聖愴を奪還するが、それを真っ二つに折り、十字架と
して掲げ去っていくところで幕……我々ごとき吹けば飛ぶよなワーグ
ナー歴の人間であっても、演出の展開がある程度読めてしまうのは、
いいことなのかどうか。

3幕、1幕と同じ教会は介護施設のようで、年老いたグルネマンツや
車椅子に乗ったクンドリーが世話を受けている。そんなところに2幕
と同じ姿のパルジファルが登場。手には聖槍を折った十字架が。

聖金曜日の音楽の舞台は砂漠に雨が降ったという設定で、舞台の奥に
本水が降り注いで少女たち(全裸も2人)が喜びはしゃぐ。いたわりに
満ち溢れたと感じられる舞台である。

この幕でも時空を越えるのだが、その画面にはグルネマンツやクンド
リーの顔などに加えてワーグナーの顔までが登場したのは、あまりに
陳腐ではなかったか。

そして再びアンフォルタスに対する聖杯の儀式の強要の場面だが、そ
こでティトゥレルの遺骸が入った柩に人々が自分たちの宗教の聖具を
投げ入れるのだ。それはユダヤ教の燭台“ハヌキア”だったり、キリ
スト教の十字架なのだった。

これが演出家ウヴェ・エリック・ラウフェンベルクのメッセージだっ
たのだが、客席で観ながら相当にイージーな結論ではないかと感じて
しまった。気持ちは理解できないでもないし、そうあってほしいと考
える人が大多数だとは思うけれど、あまりにも安易な解決策だとしか
思えなかったのだ。

というわけで全幕が終わり、この日の聴衆の反応はそれほど悪いもの
ではなかったかとは思うけれど、1幕でイエスに見立てたアンフォル
タスに血を流させたりというあたり、そこまでやらずもがなな印象を
持った。個人的には2008年に観たヘルハイムの舞台に軍配を上げたい
と思う。

アンドリス・ネルソンスのキャンセルで、急遽指揮をすることになっ
たハルトムート・ヘンヒェンは手堅い音楽を聴かせてくれたが、もう
少し色気があってもよかったか……たぶん後ろの方に座ると、音楽が
さらさらして聴こえるのかもしれない。
                            [続く]

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