劇話§歌舞伎・松島屋・初代・片岡千之助

去年の11月歌舞伎座顔見世興行で、初代片岡千之助を名乗っ
『お祭り』で初舞台をふんだウルトラマン好きのかわええ!
まーくんについて書く。

子役が“けなげ”だったり“かわいかったり”というのは、
言うまでもなく当たり前のことで、そうでなかったら舞台に
出てこなくてけっこうなくらいである。元来「動物と子供に
は勝てない」のであるから、芸の力や経験とはまるで別次元
の存在として楽しめばいいだけの話である。

というわけで、まーくんもとい千之助丈の初舞台は、子役を
観る楽しみといったこと以上に楽しさに満ち溢れ、女性観客
は、すっかり母親の気持ちにさせられたのだろう。

何がといって「許されるのは今だけだぞ。分かってるのか?」
というくらい、舞台進行に関係なく笑顔を振りまきまくるの
である。花道を歩きながらニコニコ。所作をしてニコニコ。
パパ(孝太郎)が若い衆(愛之助)にからまれて助けなければな
らないのにニコニコ。そして極めつけはウルトラマンのスペ
シウム光線のポーズを使ってのとんぼ切りのタイミングであ
る。

あるテレビ番組で孝太郎がまーくんに「笑うのなんとかなら
ないかというのに『だめ、ボクどうしても笑ってしまう』と
言うので、私の父(仁左衛門)が『もう、ええやないか』とな
って、そのままやらせたのです」と言っていたが、まあ、客
席はこれだけで十分に楽しみ、お釣りがきてしまうのだ。

そうそう子役の初舞台を観ているわけではないが、4歳半で
あれだけやってくれれば上出来ではないか。

芸の伝承といったことと並行して、祖父、父、息子が同じ舞
台に立って客に披露する……顔を覚えてもらうのが、役者の
大事な仕事の一つなのであるから、今回の千之助初舞台は大
成功であろう。さぞやオーパ仁左衛門も満足だったろうし、
ほっとしたことだろう。

それこそ「“ワー!”っと泣いて『舞台に出ない』とか言わ
れたら興行がめちゃめちゃになってしまうわけですからね」
と仁左衛門が言うように25日間をつつがなく演じてもらうに
は周囲の大変な気配りがあったと想像される。子供のことと
て、熱を出したっておかしくないし、お腹の具合がおかしく
なっても不思議ではないのだから。

というわけで、時折録画したDVDを引っ張り出しては『松
栄祝嶋台』を飽かず眺めるのである。

★ひだまりのお話★

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