音話§コラ・ヴォケールが歌うシャンソン

コラ・ヴォケール(Cora Vaucaire)を知っていますか? 

『枯葉』を歌ったのは彼女が初めてなのである。彼女の存在
を知ったのは1980年、初来日でのリサイタルのテレビ映像だ
った。白の、あるいはオレンジ色だったかのふんわりとした
ドレスに身を包んで、シンプルなステージで歌われるシャン
ソンのチャーミングなこと。

恥ずかしながら、フランス語の“フ”すら理解できないのだ
が、彼女の美しいフランス語にすっかり心を奪われてしまっ
た。シャンソンの持つあらゆる要素……センチメンタル、シ
ニカル、ユーモア、演劇性……が彼女には備わっているので
ある。

一度は実演に接してみたいと思っていたら案外早く1983年に
実現した。会場は前回と同じく青山の草月ホール。シンプル
な伴奏は、ジャン・ピエール・レミという手練のピアノと、
古楽器奏者として有名な鈴木秀美のチェロ。

美声ではないがどこか魅力的な声と雄弁な手の動き。一曲一
曲が小さな芝居でも観るような、そんな思いに捉われた。こ
のライブですっかりはまり込んでしまい、その後1995年のシ
アター・コクーンのリサイタルまで、来日するごとに通った。
70歳を超えていたであろうコクーンでの公演の見事だったこ
と。語るように歌う、そして歌うように語る。全ての曲がい
とおしむように歌われ、ホール全体が彼女の小宇宙になった。

好きな曲はたくさんある。『鯨取り』『学校の帰り道』『く
るみ』『モンマルトルの丘』『ルノー王の哀歌』『小さな三
つの音符』もちろん『枯葉』そしてやはり『桜んぼの実る頃』
どの曲にも彼女ならではの世界がある。

心残りがあるとすれば、コクーンの公演でプーランクの『愛
の小径』を歌うという予定になっていたのだが歌われなかっ
た。彼女の歌うプーランクはどんなだったのだろう……。

いわゆるポピュラー音楽で二人の素晴らしい女性歌手の実演
を聴けたことは今でも大きな財産になっている。一人はコラ・
ヴォケールで、もう一人はファドのアマリア・ロドリゲス

★ひだまりのお話★

この記事へのコメント

梅ノ亮
2005年08月11日 18:17
はじめまして、
TBいただき飛んできました。
コラ・ヴォケール、それにアマリア・ロドリゲスをライヴでお聞きなられたとのことで、何とも羨ましい限りです。
私は専らスピーカーから流れて来る音楽で楽しませてもらっている口ですが、素敵なひとときを過ごせる喜びは何とも言えません。
久しぶりにアマリア・ロドリゲスのライブ・アルバムを聴くことにしたいと思います。
kemukemu
2006年10月14日 19:42
はじめまして。
大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。
ときどき寄ってみてください。
私もシャンソン大好き人間です。(聴くほうですが)

http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611

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