都話§東京生活…6~荻窪~

荻窪とその周辺に住んだのは数年間。東京の地図を見た時、
かつての国鉄が中野から国立付近まで何も考えず、真っすぐ
線路を引いた場所にとりあえず単純に興味を持ったのだった。

荻窪には長期間住んだわけではなかった。ルミネなどの再開
発ビルができる直前に離れてしまったが、当時北口にあった
市場や、深夜まで営業している駅前のカウンターのみの中華
屋などはずいぶんと愛用させてもらった。まだまだ食べ盛り
で、夜中にもかかわらず餃子にビールの後、ラーメンとチャ
ーハンを食べて平然としていた時期である。まだまだラーメ
ンブームとは言えず、有名な店の何軒かはそれなりに営業し
ていたのだが、食べに入ったのはなぜか春木屋だけだった。
北口の商店街の定食屋とか並んだりしている中に“ボン”と
いうコーヒー屋があって、婆さんが一人でネルドリップのう
まいコーヒーを淹れてくれるのだったが、通い始めて半年で
あえなく閉店。そして南口には昔ながらの喫茶店があって、
これまた老夫婦がのんびりとコーヒーを出してくれていた。

このあたりから少し酒の味を覚えだしたようで、南口でも少
し奥まったところの居酒屋では福生の“多満自慢”の樽酒を
安く呑ませてくれた。その呑み口の新鮮さに日本酒の良さを
初めて認識したような記憶がある。

本当ならもっと荻窪周辺で遊びたかった。今だったら少しは
遊び方を知っているつもりだが、何より足を延ばすのに腰が
重くなってしまっている。

荻窪は記憶の中に留まっていて、もし今駅を降りたらどんな
印象を抱くのだろうか。

★ひだまりのお話★

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