劇話§R.シュトラウス『ばらの騎士』Vol.6

いわゆる世間のお約束のようなもので言うと『ばらの騎士』
の“御三家”はウィーン、ミュンヘン、ドレスデンというこ
とらしい。

ウィーンは『ばらの騎士』の舞台だし、ドレスデンは初演の
地、ミュンヘンはシュトラウスの出身地などなど。これらの
3つの歌劇場のレパートリーからはずれたことなどないだろ
う。

幸運なことに、3つの歌劇場すべてで『ばらの騎士』を観る
機会に恵まれた。

一番最近に観たのはドレスデン。演出の時代設定はさしずめ
『ばらの騎士』が初演された1910年代あたりかと想像。大胆
な読み替えの演出にはあまり抵抗感はないほうだが、ばらの
騎士やマイスタージンガーのように、時代がはっきりしてい
るものまで無理矢理設定を変更する必要はないとは思う。

それよりも聴き物はドレスデンのオケの音色で、ウィーンよ
りは少し粘り気と渋さがあり、ワルツなども重めな部分はあ
るものの、シュトラウスの音色を存分に堪能することができ
る。

ドレスデンやウィーンと比べてミュンヘンのオーケストラの
音色は少し物足りないところがある。現地で聴いても、来日
公演でも特徴に乏しいところがあるように感じる。とはいえ
もう一度くらいは、ユルゲン・ローゼの美しい舞台で展開す
るロココのオペラを聴いてみたいものだ。

この3つのオケピットから聴こえてくる楽しいお遊びがある。
知っているのは2か所で、どちらも第三幕。一つは居酒屋に
入ってきたオックス男爵を給仕が取り囲む場面で、オックス
が「おい、お前達は何だ!?」と聞くところで、舞台上の給仕
達と同じ「旦那様に給仕をいたしますんで!」という歌詞を
ピットメンバーが歌うというもの。

もう一つは、天井裏や床下からお化けの扮装した人間が登場
してオックスがうろたえる場面で、アンニーナが「あれは私
の夫!」とひとしきり叫んだ直後に、ピットメンバーがハミ
ング上昇音型を唱和するもの。

こういう仕掛けを知るのも楽しいものである。何年かに一度
はこういった歌劇場で『ばらの騎士』を観たいものである。

【昨日の酒量】ヱビスビール350缶×2
【去年の今日】お休み

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