舞話§パリ・オペラ座バレエ『白鳥の湖』…1

今時まだ、バレエがお嬢様芸で軟弱なものだと思っている輩
など存在しないとは思うが、昨日の『白鳥の湖』を観ていて
心底驚嘆したのだった。

女性ダンサー達の脚は鍛え上げられた細さで、昨今の日本の
若い女性の不健康な細さとはまったく質が違うのである。選
抜された少年少女たちが数年間のバレエ学校での訓練を経て
すら、オペラ座バレエに入団できないこともある。徹底的に
オペラ座バレエのメソードを叩き込まれつつ、そのメソード
を超えて彼らは個性を発揮するのだ。

強靭な肉体を通して表現される舞台は、まさに繊細さの極致
なのだが、ひ弱な繊細さではなく“肉太で骨太な繊細さ”な
のである。前オペラ座バレエ学校校長のクロード・ベッシー
がしばしば語る“つま先のポエジー”を久しぶりに堪能した
3時間だった。

20人足らずのエトワールを頂点にしてピラミッド構造からな
る厳密な序列をカドリーユから長い時間をかけて、一段一段
上がっていく人間もいれば、退団したギエムのように、あっ
という間に頂点に躍り出る才能もある。自分達の芸術の質を
維持するための競争は常に繰り広げられるが、また自分の持
ち場をきっちりと守って、背後から主役を支えようとする。

昨日の、いつもよりは長めのカーテンコールは、主役3人に
対してだけでなく、驚異的なコールドバレエ達に対しても惜
しみなく熱心な拍手が続いていた。昨日の客はまた、久々に
質が高くて、拍手のタイミングや止めるタイミングもよく把
握していたように思う。

その2では、気絶しそうなヌレエフの振付け演出について。

★ひだまりのお話★

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