政話§『野中広務 差別と権力』魚住昭

単行本で出ていたが文庫本になったところで購入、3日間ほ
どで読了。

およそ、こんな人物は敵に回したくはないものである。彼の
出自から生じたエネルギーが、政治における一流の仕掛け人
という彼の立場をより強烈なものにしたのは疑いようがない。

読んでいてなかなか理解しにくかったのは、彼自身の“政治
思想”の位置が状況によって目まぐるしく変化するというこ
とであった。それは沖縄の米軍基地問題での彼のスタンスで
読み取れることができる。心情的には明らかに平和主義者で
ありながら、実務面では保守的な流れでまとめていこうとす
る……彼を目の当たりにしてきた人間は、離れて傍観してい
る我々よりはるかに戸惑ったことだろう。

彼がいわゆる“抵抗勢力”であるのかどうか、正直なところ
まったくわからない。ただ、旧来の公共事業の取りまとめの
ような役割を担って彼自身の立場を強固なものにしていった
ということに関しては、首肯できない時代になっているので
はないだろうか。

“情”と“実務”を冷静に使い分けることができた、という
一点についてはまさに“政治家”だったということだ。

サークル“ビール純粋令”推奨協議会

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