来話§1992年バイエルン国立歌劇場(Ⅲ)

というわけで名古屋の地での『影のない女』初演について。

オペラ鑑賞を始めて20年経ってようやく歌舞伎に駒を進めた。
10年早く歌舞伎を観始めていれば、もう少し猿之助のコンセ
プトを理解することができただろうにと思うが、後悔しても
しかたがない。

愛知の優れた舞台機構は、おそらく“宝の持ち腐れ”になっ
ていることだろうが、この時はミュンヘンの舞台機構が十全
でなく、猿之助のコンセプトを実現するためには、名古屋で
プレミエ上演をするしかなかったという。けっこう前代未聞
なことをやったのだった。

第一幕二場、染物屋の場面で天井から下がっている染められ
た布の美しさに眼を奪われる。染物屋の場面は“世話物”風
に演出されていた。皇帝と皇后の宮殿とか衣装とか、今にし
て思えば歌舞伎の様式をベースにして、そこにエキゾチック
な雰囲気を醸し出すようにしていたのだった。

もっとも、そういった衣装や装置に眼を眩まされて、肝心の
音楽にまで耳が反応してくれず、気がついたら第三幕の金橋
のフィナーレの部分だった。

★ひだまりのお話★

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