欧話§ドキュメンタリー『ルキノ・ヴィスコンティ』

『夏の嵐』とか『地獄に堕ちた勇者ども』といった映画を制作し、ま
たオペラや演劇の演出家としても傑出した才能を見せたイタリアはミ
ラノ出身の“赤い貴族”ヴィスコンティの仕事を辿ったドキュメンタ
リーが放映された。

劇場で彼の作品を観たのはたった2本『家族の肖像』と『地獄に…』
だけである。

1時間とはかくも短いものかというくらいの内容で、本当に重厚な仕
事をこなしていった人だと思った。ヴィスコンティを軸にして、トー
マス・マンからココ・シャネル、俳優はもちろんのこと音楽家から美
術家までの厚みは、ヨーロッパだけではなくアメリカにまで及んでい
るのである。

ヴィスコンティのような人間に“ヨーロッパ”というものを強烈に感
じることになるのだ。彼のような存在からすると、日本人の映画監督
で“アジア”を包括的に表現したり、国境を超越した分厚い交流から
何ものかを生み出したりできる者がいるだろうかと思った。

もちろん様々な見方があって、ヨーロッパで小津作品をはじめとする
日本映画が持て囃される背景には、それこそ“非ヨーロッパ的”なる
表現への憧憬があったりもするのだろう。

こうなるとお互いが“ない物ねだり”状態ということになるのだが。

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