悼話§永沢光雄さん(作家)

まだ47歳という若さである。自分より歳の若い人間の死を知るのはい
つも複雑で辛い思いでいる。

我が家に彼の本があるわけではない。書店をブラブラ歩いている時に
手に取ってペラペラと立ち読みしたのが『AV女優』という単行本で
テーマは際物的だったが、興味本位に堕することのない冷静な筆致で
綴られた上質なノンフィクションだと思った。

4年前に咽頭がんで声帯を失い、声が出せなくなってしまった。その
経緯を綴った『声をなくして』という本も出した。

たぶん“この人はまだま作品を発表していくだろう”という思いがあ
って、そういう意味で自分自身の中に永沢光雄という存在があったの
だと思う。

……それが、朝刊の訃報欄に彼の名前を見つけた瞬間の喪失感の中に
“死ぬべき人ではないのに”という意味合いのようなものが含まれて
いたような気がする。

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