録話§オペラ引越し公演の記録映像[中]

1993年の『ベルリン・ドイツ・オペラ・イン東京』は、これまたワー
グナーの『ニュルンベルクのマイスタージンガー』を中心に、今度は
ワーグナー受容のような要素も入れ込んでの番組である。

番組は、この楽劇を演出したゲッツ・フリードリヒによる舞台づくり
を織り込んで進行する。彼がこの楽劇の新演出を手がけるのは二度目
ということで、構想は1989年のベルリンの壁崩壊以前に練られていた
のを、情勢の劇的な変化で練り直しを余儀なくされたと話す。

フリードリヒのプローベでの舞台演出、演技づけはユニークなもので
特に興味深かった一例をあげるなら、第二幕でベックメッサーが歌う
セレナーデの場面。アイケ・ヴィルム・シュルテに向かって「ロック
ンロールを歌うミック・ジャガーとかプリンスのように」と説明した
あたり。

1988年もこの1993年も、いまだ新国立劇場は建てられておらず、それ
はまた日本のオペラ関係者の悲願でもありコンプレックスでもあった
と想像することは可能で、これは新国が開場した今に至るまでさほど
変わっていないことではなかろうかと思う。結局のところ、引越し公
演と二期会&藤原を聴くという二極構造に、もう一つの選択肢が増え
ただけで、日本人を多用すれば“お手盛り”と批判されかねない現在
の新国の方向性はどうなっているのだろう。

と書いたところで、いつだったか新国について書くと言ったことを思
い出した。ただ、書くには書けるだろうが全編これ悪口と文句の羅列
になりそうで、そんなものは読んでもおもしろくなかろう……かな。

【去年の今日】麺話§スパゲッティ・ナポリタンしかなかった

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