弔話§念仏講と十三仏

不動明王、釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩、地蔵菩薩、弥勒菩薩、薬
師如来、観世音菩薩、勢至菩薩、阿弥陀如来、阿閦如来、大日如来、
虚空蔵菩薩。以上が十三仏である。

仏教界では、人が死んで成仏するまでには四十九日かかるのだそうで
仏教の世界ではその日までは“亡者”なのである。詳しくは知らない
が、不動明王から薬師如来までの7名が、それぞれ7日間づつ亡者の
世話をして、仏さんに仕立てあげてくれるという。

ところで、生家のある町中では、たぶん一部であろうと想像している
が、通夜と告別式がすべて済んだ夕方に、その地域で“十三仏”と称
している“念仏講”が執り行われるのである。仮位牌が置かれた祭壇
の正面に、どこからか調達された十三仏の掛け軸が飾られ、その前で
“和尚”が十三仏の名前を一通り13回繰り返すのである。但しここで
言う和尚は正式の僧侶でなく、町内会の有志などが代わる代わる担当
し、和尚の先導で集まった人間が十三仏を唱えるのである。

その際、仏になるべく三途の川を渡って先に進んでいく亡者の喉が渇
かないように、コップなどに入れた水を手渡しで祭壇に供えてはどん
どんと水を代えていくのである。

ところが、この10年ほどの町中の空洞化のせいなのかどうか、10年前
には行なわれていた十三仏が、父の葬儀の晩には執り行われなかった
のである。そういう風習を知って主導する人達はどんどん高齢化して
とうとう消滅しつつあるようで、郷里から離れた人間にはそんなこと
言う資格はないが、時は過ぎていくのだとしみじみ感じたのだった。

+今日の富士山……▲

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