劇話§三月大歌舞伎『義経千本桜』昼の部

晴れはしたが冬が戻ってきたような日曜日に観てきた。

一番楽しめたのは『道行』である。芝翫の何気ない所作のそれぞれが
舞台を華やかにしていく様をぼーっと眺めていたのだった。これこそ
が歌舞伎の幸せの一つなのだろう。

それに合わせて菊五郎の忠信、仁左衛門の藤太が巧みに絡んで、劇場
の外の冬に対して、歌舞伎座の中は春で溢れそうになっていた。仁左
衛門の藤太などはまさに“ごちそう”で、二枚目でありながら愛嬌も
十分に持っている仁左衛門の別の一面を見た思いがして、思わず頬が
緩むのだった。

そんな『道行』と比べて『忠盛』は正直疲れ果ててしまった。幸四郎
と藤十郎がまったく別の方向性で演じているように感じられ、まずも
って藤十郎の粘着度の高い演技は、特に女房お柳と典侍の局との差異
もなく、ベターっと演じられてかなり閉口した。以前芝翫で観た典侍
の局が――例によってお行儀は悪いが――懐かしく思い出された。

幸四郎については毎度毎度しつこく書くが、あの喉を詰めたような口
跡が相変わらずだめである。それでどんどん演技が重くなっていくの
で舞台のテンポが悪く、睡魔に襲われそうになったのを踏ん張ること
数度である。

そして今週は夜の部。

★ひだまりのお話★

この記事へのコメント

2007年03月24日 00:00
私も歌舞伎を書きました。
遊びにどうぞ

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