鍵話§ベートーヴェン・ピアノソナタ30~32番

このところ実演に接したり自宅でCDを聴いたりする機会が多い。

ようやく3曲の音楽の流れがつかめてきたところで、そんな時点での
感慨を簡単にまとめてみる。今録音で持っているのは4種類で、ケン
プ、グールド、ブレンデル、内田光子。

4種類の中でどれが気にいったかというのがまだわからない。ただ、
ケンプの演奏は好みではなさそうである。グールドは買ったばかりで
一聴しただけだが、当然のことながらグールド風味で“ため”がなく
あっという間に疾走していってしまって、身も蓋もないなあと思わさ
れた。それがグールドの持ち味なのだが。

数を聴いているならばブレンデルの録音だが、この人の音楽は決して
器用だとは言えず、表現するならばゴツゴツした手が固い粘土を捏ね
るように音楽を造形していくように感じられる。そういう意味でも味
わいがあるように思われるのだが。

内田光子の録音は、まだ集中して聴いていない。去年の9月の実演が
まだまだ生々しく残っていて、もうしばらくしないと冷静に聴けなさ
そうなのである。

およそベートーヴェンのピアノソナタは、28番を最後に“まとも”な
ソナタとは呼べなくなってしまい、晩年の一連の弦楽四重奏曲などと
同列に考えたくなってしまうが、およそ第九交響曲あたりと並行して
完成した作品群であることは認識しておくべきだと思った。

“死”というものが現代以上に切実な現実だったにせよ、50歳を過ぎ
たばかりで作曲されたピアノソナタと晩年に書かれた弦楽四重奏曲を
同列には論じられないだろう。

そんなこんなで、28番を愛聴しつつ30~32番を聴くようになったのだ
が、29番の『ハンマークラヴィーア』にはまだ手が出せないままであ
るのだ……。先々、もう少し時間がかかりそうである。

【去年の今日】即話§インスタントラーメン考…急…

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック