悼話§中村四郎五郎さん(歌舞伎役者)

飄々とした舞台姿が楽しい名脇役だった。最後に舞台姿を見たのは、
2月の歌舞伎座『忠臣蔵』三段目で「えへん! バッサリ!」をする
伴内の家来の頭。

多くの逸話の持ち主で、例えば六代目(菊五郎)を“おじさん”呼ばわ
りして周りを震撼させたりしている。その一端をいくつかの中村屋関
係の本で知ることになった。

……六代目に「おめえ、どっかで見かけた顔だな」と声を掛けられた
のに「へい、同業者でござい」

……現・勘三郎が勘九郎で初舞台を踏んだ『桃太郎』の時、ある日の
公演で迫がうまく下がらずに、所作台が斜めに傾いて勘九郎が奈落に
落ちそうになったところを抱えて助けたのは、赤鬼役の四郎五郎だっ
たのだ。少しでもタイミングがずれたら現・勘三郎はいなかったかも
知れず、言わば命の恩人でもあるのだ

今頃は天上の十七代目が「やっともう一人の駕篭かきが来てくれた」
とか何とか、源左衞門と話でもしているのだろうか。

中村屋は、去年秋に中村源左衞門を失っているから心痛のほどは察し
ても余りある。まだまだとぼけた味わいの脇役で観客を楽しませてく
れると思っていたのだが。

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この記事へのコメント

喜平次
2007年04月27日 14:59
いつも素敵な文章をありがとうございます。

四郎五郎さんの訃報、驚きました。
張りのあるお声も好きでした。

私も最後に拝見したのは「えへん、バッサリ」でした。
病気は怖いですね。

時候不順の折、ひだまりさんもどうぞお気をつけください。
2007年04月27日 15:08
コメントをありがとうございます。

歌舞伎を観始めて数年経ちますが、
相変わらずの初心者状態です。それ
でも、脇役さんウォッチを早くに覚
えたので、舞台の楽しみが倍加しま
した。

喜平次さんもご自愛ください。
2007年04月28日 09:16
はじめまして.
‘味’で魅せてくれる役者さんがまた一人減ってしまって哀しいかぎりです.
2007年04月28日 11:27
コメントをありがとうございます。

小山三さんには二人分長生きをして
もらいたいものです。

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