野話§150km/hで飛んでくるボール

新宿の東西連絡地下通路に変わった広告が貼られていた。

貼られた広告は、ボールがピッチャーの手から点々とキャッチャーに
向かって一瞬で点滅していくのである。球速が150km/hという設定
で、通りすがりの人が思い思いにバッターボックスに立ってスピード
が体感できるようになっている。

ボールの軌跡を見ていたが、とても人間が投げるようなスピードとは
思えず、驚嘆する声が聞こえていた。あんなスピードのボールを弾き
返すのだからプロの野球選手の身体能力はいかばかりかと思うのだ。

ずいぶん昔のことだが、故人となったエッセイストの江國滋氏が取材
でプロ野球のキャンプ地訪問をし、彼が希望してバッターボックスに
立たせてもらったという内容の文章を読んだことがある。

その文章で印象に残っているのは、コーチだったかが「実際に立って
いただいてもいいですが、まだキャンプが始まったばかりで、ピッチ
ャーの仕上がりがまだまだなのです。球道が定まりきっていませんが
それでもいいですか?」と念を押されての“対戦”となったのだが、
そう聞いてビビらないほうが不思議である。かくして及び腰の江國氏
は勝負に負けたのであった。

そうでなくても100kmを超えるボールが自分に向かって飛んできた
ら仮にぶつからないことがわかっていても腰を引くに決まっている。
しかも、ボールがミットに吸い込まれてから腰を引くという情けない
タイミングなのは間違いないところだろう。

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