暮話§東京事始~我が庵は~

ほどない時期に、人生の三分の二が東京でという通過点を迎える。

最初に下宿したのは山手線の駅から徒歩数分足らずで、窓を開けると
“国電”が頻繁に行き来するような立地に住んでいた。

家賃は7000円。共同の台所――ガスコンロ一台と流しだけ――で
トイレは階段を下りて家主家族と共同で使うことになっていた。部屋
は三畳一間だったが奥の一畳の上半分が押入れになっていて、空間的
には二畳半というもので、ここにちょうど2年間暮らしたのだった。

風呂は銭湯が徒歩圏内に二軒あり、電話は階下の家主が取次いでくれ
る。30年以上前の学生下宿事情としては中の下くらいのレベルだった
だろうか。それこそ風呂や電話までは望まずとも、せめて部屋の中に
台所とトイレくらいは欲しかったというのがささやかな願望だったの
である。

その後、大学を卒業して就職した時に借りたアパートには風呂がなく
半年ほどは銭湯に通うことになったが、銭湯の営業中に帰れることが
少なく、よんどころなくサウナなども利用していたが、とうとう風呂
のついたアパートを借りることになった。

そんな変遷を経て、とりあえず今の住まいが安住の地になってくれる
かどうか……なってくれると思っているが……三畳の間借りからした
ら、ずいぶん遠くに来たものである。

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