悼話§ルチアーノ・パヴァロッティさん(歌手)

“ベルカント”という言葉の意味を十全に理解できないままなのだが
パヴァロッティこそ真にベルカントの人だということはわかる。

イタリア・オペラを積極的に聴かなくなった今であるが、パヴァロッ
ティの歌声は好き嫌いを超越していて、誰にも真似のできない歌い回
しや輝かしい高音はスポーツ的快感の部類に入るかも知れないのだ。

うむを言わさぬ説得力が存在していたのである。

実演は一回だけ、METが来た時『愛の妙薬』のネモリーノだったが
以前書いたとおり、絶頂期からはかけ離れた歌唱だったと思う。それ
でも、開演前にカーテンの向こう側から彼の声慣らしが聴こえてきた
瞬間のときめきのようなものは、我が身の中に鮮やかに残っている。

声の力だけで聴衆を屈服させられる歌手が、今現在いるだろうか。彼
の肉声で聴きたかったオペラはいくらでもあるが、一つだけと言われ
たら『トロヴァトーレ』のマンリーコだろうか。

チケットが高額でイベント的なコンサートには興味がなかったので、
三大テナーがマイクを通した歌声を聴く催しに出かけることは一度も
なかった。

そういえば、カルロス・クライバーがメトロポリタン歌劇場で『ばら
の騎士』を振った時に“ごちそう”でパヴァロッティがテナー歌手を
歌ったことがあった。さぞや聴きものだったことだろう。

録音では、ショルティ&ウィーンフィルの『ばら』で歌っている。

《オペラのトピックス一覧》

この記事へのコメント

2007年09月08日 08:51
TB、ありがとうございました!
そう、まさに「ベル・カント」でしたね。
ネモリーノ、生で聴かれたのですね。私はDVDでしか観た&聴いたことがないですが、ちょっと抜けた感じの役柄がパヴァロッティと絶妙にマッチしていたような気がしたのですが・・・(これって褒めてるのか?)。
いずれにせよ、素晴らしい歌手でした。
2007年09月08日 16:03
こんにちは。

彼の声が“イタリア”そのものだったよう
な気がします。せめて、あと2回か3回は
実演で聴きたかったですね。

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