鍵話§ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第28番

ベートーヴェン後期ピアノ・ソナタで、我が耳に29~32番はソナタと
は聴こえない。28番もそのように聴こえる人がいるかも知れないが、
個人的には彼が書いた最後の“ソナタ”らしい曲だと思っている。

初めて聴いたのはもう15年も前、アルフレート・ブレンデルのリサイ
タルだった。その頃は、今以上に聴く耳などなく、あまつさえピアノ
の表現などというものの何たるかがまったくわかっていなかったので
ある。

そんな半可通の耳に聴こえてきたブレンデルのベートーヴェンは、眼
から鱗ならぬ、耳から鱗が落ちたようだったのである。ベートーヴェ
ンが書いた音符の一つ一つが吟味され、行き届いた気配りで淡々と演
奏が展開していくのだった。

その時の28番のソナタが本当に印象的で、その後彼が録音したCDを
購入して愛聴盤になっている。29番以降とは異なり、冒頭の美しいカ
ンタービレやそれに続く行進曲風の音楽、軽いフーガのような終楽章
まで、心地よい音楽だと思うのだ。

とかなんとか思っていたら、30~32番に続いて内田光子が28番、29番
を録音したのでようやく購入した。去年の実演などから推測すると、
ブレンデルなどより思い入れが強くて粘着気味であろうと予想。

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