呪話§ボレロのトロンボーン~1981、2003~

シカゴ交響楽団がヨーロッパツアー中で、2日前にミュンヘンのガス
タイクで聴かれた篠の風さんのエントリーを読んだ。

プログラムの最後、ラヴェルの『ボレロ』でトロンボーンがひっくり
返ったということである。これはもうトロンボーン奏者の鬼門である
と言うしかないくらいに事故が起きまくっている。

2003年にシカゴ響がバレンボイムの指揮で上野のオケピットに入って
東京バレエの伴奏をするという豪華な企画があった。その時の最後の
演目ががシルヴィ・ギエム踊る『ボレロ』で、その前にも『火の鳥』
と『春の祭典』が踊られ、文化会館の狭いピットで弦のプルトを減ら
していたとはいえパワフルな演奏を聴かせてくれていた。

……そして『ボレロ』で事故が起こった。言わずもがなだが、ソロ奏
者にとって実演でこの曲を演奏するのは実に実に嫌~なものであろう
と想像するのはたやすい。いかなプロであっても自分のソロの順番を
松プレッシャーはいかばかりかと。

トロンボーンがソロを吹く直前に、サックスか何だったかが軽度な事
故を起こしてしまった。それが頭に残ってしまったのかどうかはわか
らないが、3階左からピットを見下ろしていた我々の心中に不安が芽
生え、そして……ひっくり返ってしまったのだった。舞台のギエムを
そっちのけにして双眼鏡でトロンボーン奏者を見ると、実に実に憮然
とした表情をしていたのだった。

2003年11月2日の出来事である。そして遡ること22年……

1981年11月2日、NHKホールでカラヤン&ベルリンフィルの演奏
会があった。当日の演奏はFMからエアチェックしていて、どこかに
カセットテープが残っているはずである。

この演奏会の最後がまた『ボレロ』であった。何というか……本当に
盛大にトロンボーンがひっくり返ってしまったのである。ここから先
はクラシック好きの間に流れた噂で信憑性のほどは保証できない。

……その日のトロンボーン・ソロを受け持ったのは試用期間中の奏者
で、そのミスのために本採用が見送られ、傷心の彼は姿を消した……

……2003年11月2日にシカゴ響のトロンボーン奏者が起こした事故は
22年前に不採用になった奏者の恨みなのだという……

・・・見事な符合ではあるが、もちろん単なる偶然に過ぎない。

《オーケストラのトピックス一覧》

この記事へのコメント

2007年10月03日 18:44
知りませんでしたが、あの部分はそんなに歴史のあるものなんですね。面白い読み物をありがとうございました。(^_^)
2007年10月04日 09:33
“歴史”などと言うほどのことではあ
りませんが(汗)。

それよりも歌劇場のほうが“誰それの
怨念でハイCをはずした”みたいなこ
とが山ほどありそうだと思っているの
ですが。

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  • シカゴ響 + リッカルド・ムーティ

    Excerpt: <p> また切符をいただいて Gasteig で行われた演奏会に行ってきた。オーケストラはシカゴ・シンフォニーオーケストラ、指揮はリッカルド・ムーティ。 </p> Weblog: Mein zweiter Blog racked: 2007-10-03 18:41