董話§慣れない桁は要注意!

年に一度とか本当に稀だが、同居人への日頃の感謝を込めて「願いを
叶えてあげやう!」と思っている。まあ“記念日”とか“誕生日”に
かこつけてということなのであるが。

同居人もこちとらの懐具合をしっかり把握しているので、無茶苦茶な
ラインを提示してくるわけでないのは安心だが、そうはいっても手持
ちの資金に余裕のある時に限られる。

年齢からしてもキンキラキンのジャラジャラとかいうものではなく、
それから、麗々しくロゴマークなどがついているブランド系の“あれ
やこれや”などでもなく、単純に不特定多数の人が持っている類には
まったく興味ないが故に、最近はアンチックのあれこれを漁ったりし
ている。アンチックとて侮れず“ピンからキリ”まであり“ピン!”
のお値段だなどといったら、尻尾を巻いてさっさと退散するだけ。

早い話が“キリ”に近いほうを探すわけだが、それでも安くて五桁、
許容は六桁ギリギリに届く程度である。年に一度とか一発勝負ごとき
で見つかるはずもない。時間に余裕のある時に都内の店の2、3軒も
覗き歩いてみるのだ。

そのうちの一軒は、状態のいい品物が多くて見るだけでも十分満足で
きるが、さすがにお値段も張っていて予算に収まるような品が少なく
て手が出ないままである。

ところがある日、その店で眺めていると、状態も見映えも実に見事な
モザイクのブローチに気がついた。さほど大きくもなく趣味もいい。
こりゃあいいと“さりげなく”値札を見ると、まことにお手頃なギリ
ギリ六桁に毛が三本で、よーしと入れ込み始めた俄大尽なのだったが
……それに気づいた同居人の動きがおかしい。何となくそわそわし始
めて、店から出たいという落ち着かない素振りを見せ始めたのだ。

店員はといえば“御大尽”の出現に「お茶でもいかがですか?」と、
満面の営業スマイルなのである。そういった諸々の思惑とは無関係に
一人能天気なスポンサー氏が、ショーケースから品物を出して見せて
もらうべく店員に顔を向けようとした瞬間、同居人に袖を引っ張られ
て店を出ることと相成ったのだ。怪訝な顔の俄大尽に同居人の一言。

「あのね、あんたが考えているよりも
ひとけた多い!」

……どっと冷や汗が出てきた俄大尽でありました。

【ひだまりのお話の原点】

この記事へのコメント

2007年11月19日 06:32
その光景が見えるようです。(^_^)
2007年11月19日 12:13
あれ以来、きちんと値札の桁を……
四桁や五桁まで……数えるようにし
ています(爆)。

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