摺話§葛飾北斎とドビュッシー

指揮とオーケストラは忘れたが、CBSソニーのLPでドビュッシー
の管弦楽曲集のジャケットに、葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』を使われ
ていて印象的だった。

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あの時代にフランスが持っていた日本への憧憬(ジャポニズム)が、実
際に様々な創作物として具現化された。その成果はゴッホをはじめと
する印象派の絵画に最も顕著に現れているが、北斎の浮世絵を見たド
ビュッシーが、イメージを触発されて交響詩『海』を作曲したという
ことも、ドビュッシー好きとしてはうれしいことである。

ドビュッシーならずとも『神奈川沖浪裏』を見る人は誰であれ、作品
のダイナミズムに圧倒されてしまう。まず目に入るのは天を衝く巨大
な波である。その次には、襲い掛かってくる波に必死で耐えている何
艘かの小船としがみついている人達である。肝腎の富士山はといえば
波と小船の間に、ほんの申し訳に存在しているだけではないか。

北斎が浮世絵と同じ光景を眼にしたとはもちろん思われないが、神奈
川の海岸を歩いていた時にちょっとした高波が押し寄せてきて、たま
たま富士山と組み合わさったのかどうか、まあそんなあたりでイメー
ジがふくらんでの所業であろうと単純な想像をするが、それにしても
その想像力の飛翔には畏れ入るしかないのだ。

【去年の今日】奏話§レパートリーを拡げる試み

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