六話§バッハ『ブランデンブルク協奏曲』[序]

バッハのブランデンブルク協奏曲を初めて聴いたのは高校生の頃だっ
たかという記憶。聴いていたとは言っても5番くらいのものである。

その後、大学時代に6曲全部の録音を手に入れて一通り聴いてみたが
フルートやリコーダーが活躍する2、4、6番ばかり聴いて、残る3
曲はおざなりにしていた。その頃、N響定期で3番の実演を聴く機会
があったがNHKホールの3階から聴くのは虚しいばかりなりけり。

自分でもフルートで2番と5番の独奏パートを吹いていた。4番は、
ちょっとというかかなり難しくて、リコーダーでよく吹けるものだと
感心しきりであった。

最初に手に入れたLPは、カール・リヒターが指揮とチェンバロを受
け持って、オーレル・ニコレなどがフルートを吹いているものだった
が、それから数年もすると古楽器演奏が台頭してきた。CDに移行し
たところで、トレヴァー・ピノックのとか、ラ・プティット・バンド
などの録音を手に入れて、このあたりが現在の愛聴盤になっている。

古楽器の録音を聴くに至ってようやく1、3、6番あたりも耳に慣れ
て、渋さの極みのような6番などを聴く率が高かったりする。カーオ
ーディオに搭載して運転しながら聴くのはお勧め。

それにしても1番から6番まで、こうも楽想も楽器編成も異なる6曲
をまとめたあげものだと素直に感心するが、これもひとえにバッハが
仕えていたケーテン侯の音楽好きに負うもの大なのであろう。

バッハがそのままケーテン侯の許で作曲を続けていたら、後の教会カ
ンタータや受難曲のような宗教曲はほとんど作られなかったのではな
いかと想像してしまう。しかし幸か不幸か、ケーテン侯の結婚相手が
音楽嫌いで、侯の音楽熱も冷めてしまった結果、バッハが転職せざる
を得なくなり、職探しに苦労した揚句ライプツィヒのトマスカントル
に就任して今日まであの傑作群が残っているのだから、ケーテン侯に
は感謝せねばならないのである。
                            [続く]

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