笛話§フルートでこんな曲を吹いていた[Ⅲ]

[承前]

吹きたくて吹きたくて……でも結局最後まで吹き通せずに終わってし
まったのが、バッハの『フルートとオブリガートチェンバロのための
ソナタ(h-moll BWV1030)』である。

緊張感に満ちて恰幅のいい第一楽章は、フルートとチェンバロの絡み
合いが精妙で実に見事な構成の音楽になっている。チェンバロと掛け
合いをするということもあってか、フレーズの一つ一つが長めである
ように感じられ、どこでブレスするのかが難しい楽章でもある。

一楽章を吹くだけでも素人は十分に息が上がってしまう。それで、二
楽章は何とかなっても、三楽章とそれに続くジーク風の四楽章は完全
にアウトである。それぞれの楽章は単品でだったら難しくても何とか
なるのだが、これを全曲吹き通すのは不可能なことだった。

それと残念なことに、この伴奏を付き合ってくれるような人が身近に
いないということもある。ヘンデルあたりのソナタであれば、何とか
という人は少なくないのだが、普通にピアノを弾ける人はというと、
あたりまえだが伴奏ピアノの楽譜など見る機会などないわけで、それ
にというか“指遣い”が書いてないと弾けないというおまけまでつい
てきては、断念するしかなかったのである。

まあ……それじゃあ合わせてみましょうなどと始めても、こちとらが
あちこちで躓きまくるのも見え見えのことであった。
                            [続く]

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