響話§ベルリン・フィルを本拠地で聴く[2]

[承前]

1998年11月末、初めてベルリンの地に降り立った。東西を隔てていた
壁が開いて10年足らず、壁があったポツダム広場のあたりは再開発が
進められていたが建物のほとんどは未完成で、赤い外装の“インフォ
ボックス”という、再開発建築現場の様子をガイドしつつ見学させる
施設があったりした。

フィルハーモニーが建つ旧西側地区では、東西ベルリンが所有してい
たコレクションを一堂に集めた、真新しいナショナル・ギャラリーが
オープンしたばかりだったが、その前に立って東側を眺めると、まだ
まだ寒々しい光景が拡がっていて、東西の差のようなものも感じられ
る、そんな頃でもあった。

我々が投宿したのは動物園駅あたりのホテルで、そこからフィルハー
モニーへは、Uバーンとバスを乗り継ぐ以外にはタクシーを利用する
しかないという、思ったほど交通至便とはいかなかった記憶がある。

初めて行った時も、ホテルから100番のバスに乗って、途中の停留
所でフィルハーモニー行きのバスに乗り換えるつもりが、ブランデン
ブルク門まで行き過ぎてしまい、窮した揚句にたまたま通りかかった
タクシーをつかまえて、ようやくたどりついたのだった。

この時の教訓としては、初めての場所――しかも冬のドイツ――に行
くに際して、慣れない交通手段は利用せず、とりあえずは様子見とし
て最初からタクシーを使ったほうがいいのだと肝に銘じたのである。
                            [続く]

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