業話§ハイテクマシーンとしての“蚊”

何年前だったか思い出せないが、作家の池澤夏樹が書いたエッセイで
おもしろいものがあった。彼は理数系の出身なので文系とは一味違う
視点で文章を書いている。いささか説明に走り過ぎるのが難点か。

彼がテーマで取り上げたのが“蚊”で、この小さな昆虫を精密機械と
置き換えたら、とんでもないハイテク性能を持ち合わせているのだと
解き明かしてみせたのだった。曰く……

蚊という微小な昆虫がどれほどの性能を持っているかといえば、まず
もって優れた飛行能力である。それも単に飛ぶだけでなくヘリコプタ
ーのような空中浮遊もできるし、夜間飛行も物ともしないのだ。そこ
で池澤夏樹は「人間の力であの大きさの暗視スコープを作れるものだ
ろうか」と書く。目的地を探知する能力もしかりである。

そして目指す人様の皮膚に着陸して血を吸うのだが、ここで池澤は、
「あんな細い針で血を吸い取るのだったら、血液が凝固して管が詰ま
ってしまうだろうに、そんなこともない。驚くべき能力」

……などという文章を読んで以来、蚊だけではなく他の昆虫やその辺
を飛んでいる鳥などなどを見る眼が少しだけだが変わったような気が
したのだ。などと考えつつも、腕にとまった蚊がせっせと我が生き血
を吸おうと鋭意奮闘しているのをお引き取り願うのに、手荒なことを
してしまう野暮な凡人なのである。

【ひだまりのお話の原点】

この記事へのコメント

【篠の風】
2008年05月19日 17:23
そろそろ蚊の出没する季節になりますね。わが家の周辺では夏でも蚊を見ることがありません。ありがたいことだと思っています。(^_^)
2008年05月19日 21:34
我が家でも、ごくたまーにですが、
一匹とか二匹“プ~~~ン”などと
暗闇を飛んでいて、いつ“着地”し
てくることかと……

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