楽話§リヒャルト・ワーグナー事始[4]

[承前]

というわけで二期会の『ジークフリート』である。そりゃあ、できる
ことなら順番どおり『ラインの黄金』から指環を観始めたかったとい
うのが人情だが、前述のとおりで所詮叶わぬ日本住まいである。

この上演でミーメを歌ったのはホルスト・ヒースターマン。彼が定評
ある手練のミーメ歌いだということは、初めて聴いた実演でも感じる
ことができた。彼のようなキャラクター・テナーの“国産”をいつに
なったら聴くことができるのだろうかと思っている。

ヒースターマンの歌と演技は、大げさに言えば“ミーメそのもの”と
いうくらい、自家薬籠中であることに感嘆した。その後、指環の登場
人物の中でもローゲやミーメといったキャラクターに興味を強く持っ
たのも、このあたりがきっかけだったと思うのだ。

それ以外の記憶は2つほど……

ひとつは、一幕でジークフリートがノートゥンクを鍛えるのに使われ
たのが何やらな“本物”の低温炉とかで、鍛えた剣が本当に赤熱化し
て出てきたのには驚いた。それから三幕でブリュンヒルデが目覚めた
後の彼女の動き(演技?)が、まるでラジオ体操のように身も蓋もなく
直線的だったことである。
                            [続く]

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