弦話§クス・クァルテット~紀尾井~[Ⅰ]

毎回楽しみにしている若手弦楽四重奏団である。2006年2月以来の来
日となった。

これまでの東京公演はトリトンの第一生命ホールだった。過去2回の
公演も平日に行なわれていて、行くには行ったが自分の立ち位置から
すると、晴海は遠くていかにも不便である。

というわけで会場が紀尾井ホールに変わったのはうれしい。交通の便
が格段によくなったのである。これで2003年以来の来日公演は皆勤賞
ということになる。さて、この日(7月8日)のプログラムは……

ハイドン:弦楽四重奏曲第63番 ニ長調 op.64-5『ひばり』
ウェーベルン:弦楽四重奏のための6つのバガテル op.9
クルターク:弦楽四重奏曲第2番『小オフィチウム』
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調 op.127

ヤナ・クス(1st Vn) オリヴァー・ヴィレ(2nd Vn)
ウィリアム・コールマン(Va) フェリックス・ニッケル(Vc)

現代音楽をウィーン古典派が挟むという、いかにもクス・クァルテッ
トらしいプログラミング。相変わらず“ゲンダイオンガク”は聴かず
に逃げ回っているわけだが、プログラムに入っている以上は避けて通
ることはできない。

後に控えた3曲を見越してか、ハイドンのさっぱりとした曲が心地よ
く耳に入ってきて……。4分ほどのウェーベルンと、そのウェーベル
ンの楽想にインスパイアされたクルタークの2曲は、やはりというか
耳に馴染むような類などではなく、黙ってじっと聴き入るだけだった
が、それでもクルタークの最後の祈りのようなメロディーには救われ
たような思いがした。

あっという間のウェーベルンを聴いていると、心象風景として勝手に
浮かんでくるのは、茶室とその周囲の苔むした庭であった。
                            [続く]

《クラシックのトピックス一覧》

↓左からウィリアム、ヤナ、フェリックス、オリヴァー
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