杏話§三都物語~今はなき大阪球場にて~

[承前]

さて、球場のチケット売場で一番安い外野席のチケットを購入した。
記憶に残っていないが、値段は300円くらいなものだったろう。

勇んでゲートをくぐって外野席にたどりつくと・・・どこもかしこも
ガラガラではあーりませんか! どうもこうも客の入りが半端ではな
く、やる気さえあれば内野席からバックネット裏まで入った観客数が
数えられる――ちなみに200人までは数えてみたが、数え切れなか
った人数は200人よりはるかに少なかった――。

そして……何という急峻な擂り鉢状のスタンドだろうかと感嘆した。
いかに狭い敷地に球場を建てたのかがバレバレではないか。そういえ
ば外野席からやけにホームベースが大きく見えたぞ……。

というわけで試合開始。先攻がロッテだったので一塁側コーチャーズ
ボックスには“カネヤン”金田正一が立って、おなじみの柔軟体操で
愛敬を振り撒いていたりした。

この場において、初めて関西の野球ファンの“おもろさ”を実感する
ことになるのだ。それはどういうことことかというと“褒め殺し”で
ある。座った席が外野ライト側の中段あたりで、前のほうには南海ホ
ークスの応援団が“パラパラ”と陣取っていたが、自チームの応援は
そっちのけで、ロッテの右翼を守る得津高宏を冷かしてばかりいた。
口を開けば、潮風でつぶれたようなガラガラ声で……

得津 がんばれ~~~~!

ばかりしつこく繰り返すのである。そのうちにというか、とうとう、
当の得津が振り向いて苦笑いを返すという“麗しい交歓風景”なども
あって、パリーグは、特に関西の球団は奥が深いのー・・・と感じ入
ったのだった。

試合のことはよく覚えていない。確か8回くらいで時間切れになって
大阪球場を出て梅田のバスターミナルに急いだのである。

【ひだまりのお話の原点】

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