楽話§リヒャルト・ワーグナー事始[15]

[承前]

というわけで、1981年の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』を
皮切りにして、ワーグナーのバイロイト・レパートリー10作品の舞台
をすべて観るまでには足掛け11年の時間を必要としたのだった。

これが、ドイツあたりにでも暮らしているとして、やる気さえあれば
1シーズンで一通り観終わることはさほど難しいことではなかろう。

さてどうにか一通りは観て聴いてとはなっても、オペラという生き物
は常に形を変えて客の前に提示され続けているわけで、いつまでも同
じ設えで安心して観ていられる歌舞伎の舞台とは、見事に様相を異に
しているから、うかうかと手をこまねいてはいられず、機会があれば
何とかしてでも興味を持った舞台をこの眼で観て確かめたいと願うの
である。

さすがに東奔西走してあれもこれもといかないのは世の常で、うまく
タイミングが合って、さらに心が揺さぶられるという僥倖は何年かに
一度とかでしかない。

……いずれ遠くないうちに、あっちで体験できたワーグナーの舞台の
いくつかについて改めてまとめてみたいと考えている。

とりあえず準備しているのは、あっちのワーグナーではなくて、新国
の指環についてなのだが、はてさてまとめられるかどうか……。

ところで、今週の金曜日からバイロイト音楽祭2008が開幕する。今年
は『パルジファル』が新演出上演され、クンドリーを藤村実穂子が歌
うというのが注目である。
                          [この項了]

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