愉話§ベートーヴェン最後のユーモア

第8交響曲について書きながら、ベートーヴェンのユーモアに関して
昔読んだ本にあったエピソードを思い出した。

ただし、曲自体はユーモアとは縁遠い晩年の弦楽四重奏曲第16番であ
る。何でも、ベートーヴェンと部屋の片付けものだったか掃除だった
かをしていた女中とのやり取りであるとか言われている。あるいは、
もっと哲学的な示唆に富んだということを目論んだとかいう話もある
が、以下のような文言をメロディー化したものが主題に使われていた
りするのだ。

Muss es sein?・・・かくあらねばならぬのか?

Es muss sein?・・・かくあらねばならぬぞよ!

ベ氏・・・女中さん、女中さん、それをそこに置かれては困るよ。
女中・・・どこに置いたっていいじゃありませんかこんなガラクタ。
ベ氏・・・いや、そこには置かないでほしいのだ。
女中・・・それじゃあ、こうしなきゃ~いけませ~んで~すか~
ベ氏・・・もちろん、そうしてくれねばならぬのだよ

などというやり取りでもあって、そもそもやる気のない女中が気だる
そうに……

む~す えす ざぃん?

という言葉を、もっさりと口に出したのだろう。それをベートーヴェ
ンがメロディーとして使った、ということらしいのだ。このやり取り
そのものがユーモアかどうかはともかく、実際に曲を聴くとドイツ語
に疎い日本人の耳には、メロディーと言葉とが一致しているようには
感じられなかったりする。

《ドイツのトピックス一覧》

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック