環話§新国立劇場『リング』を思い出す[Ⅱ]

[承前]

さて、ラインの少女達――カステラ一番何たら堂のパロディー――が
守っていたのはジグソーパズル状の黄金。アニメのライン河に飛び込
んだアルベリヒが略奪をして、哀れ少女はホームレス……というあた
りは、まあ“よーやるわ”という感じで軽く見ていた。

『ラインの黄金』で最も驚かされたのは、アルベリヒが指環に呪いを
かけたところである。ヴォータンとローゲに捕えられ、すべての富を
失ったアルベリヒが指環に呪いをかけるのだが、その時アルベリヒは
同時に自らの“股間”を傷つけるのだった。

ニーベルハイムに君臨していたアルベリヒは――たぶんクリムヒルト
とおぼしき女性――ビキニ姿の女性と事に及べないままに、ヴォータ
ンに連れ去られ、残った女性の相手をしたのは・・・ミーメである。

さてもキース・ウォーナーは、事を複雑にしてしまったものである。
状況を見ている限りにおいて“たぶんクリムヒルト”が身籠ったのは
ミーメの子供。……ハーゲンの父親はアルベリヒではなくミーメだと
描いているように思われた。

ミーメはジークフリートに殺され、そのジークフリートがミーメの種
によって生まれたハーゲンの手で殺されるのであれば、これはまさに
父親の“仇を討った”ということになる。

もしそういう解釈が徹底されるのであれば『神々の黄昏』のジークフ
リートの殺害の場面でそういった描写がなされてもよかっただろうと
思うのだが、残念ながらそういったものの記憶がない。
                            [続く]

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