環話§新国立劇場『リング』を思い出す[Ⅳ]

[承前]

ウォーナー演出の『ラインの黄金』で一番奇妙に感じたのは第二場、
既にして神々の居所には“ワルハラ”という看板が出ていたのだ。

ヴォータンが、この城をワルハラと命名したのは最後の場で、神々が
虹の橋を渡って入城する直前のことだった。というわけで、第二場で
ワルハラという単語が出てきたことに大きな違和感を持ってしまった
のだった。それとも、この件について合理的な説明が可能なのだろう
か。

というわけでこれまた個人的にはおかしな話だなあと思っているので
ある。

ただし、というか『ラインの黄金』幕切れで、城に入城するシーンは
なかなかに印象的で、舞台も真っ白なら神々も――自分を象徴する動
物を頭にかぶっている――白い衣装だったのである。そんなシーンを
観ていて、いつだったかロイヤル・シェイクスピア劇団が持ってきた
『冬物語』の一場面を思い出したりしていた。

ウォーナーは、実際に欧米のオペラ演出の“今”を日本人の眼の前に
展開して見せたのだった。

……と『ラインの黄金』だけ書いたところで時間切れ、一時中断する
が、続きは9月下旬以降の予定。とりあえずの目論見としては、来年
上演するもう一演目の『ワルキューレ』をまとめて、残る『ジークフ
リート』と『神々の黄昏』は来年の課題か……。
                            [続く]

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