憬話§このたびの旅[5]フラウエン教会にて

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↑フラウエン教会の再建でエルベ河畔に歴史的な風景が甦った

[承前]

旅行直前まで、ドレスデンではコンサートの予定を入れてなかった。
もっとも、8月の半ばなどはどこも完全にシーズンオフで、もちろん
ゼンパーオパーは夏休みである。最初から期待してはいなかった。

それでも何かないかとネットで探したら、フラウエン教会で土曜の夜
に演奏会があるのを見つけた。ドレスデン郊外で催されているモーリ
ッツブルク・フェスティバル
の室内オーケストラが出演するという。
チケットを確保して20時からの演奏会に出かけた。フラウエン教会の
内部に入るという目的もこれで達せられた。……フラウエン教会の内
部見学だが、催しがない時には自由に出入りできるのだ。

内部はというと、プロテスタントの教会なのに祭壇背後の装飾がかな
り派手ではないかと感じられたが、そういうものなのだろうか。いず
れにしても巨大な空間である。

この日のプログラムは、プロコフィエフの『ヘブライ風テーマによる
序曲』に始まり、リヒャルト・シュトラウスの『メタモルフォーゼン
(原典版)』と続き、最後にブラームスの『セレナーデ』というもの。
演奏するメンバーは一曲ごとに変わる。どうやらフェスティバルには
アカデミーもあって、教える側と若手演奏家との混成と思われる。

3曲の中では、シュトラウスの『メタモルフォーゼン』が一番聴き応
えがあった。1945年2月、連合軍空爆によるドレスデン壊滅の知らせ
を聞いたシュトラウスが、その思いを音楽にした彼の“レクィエム”
と言ってもいい音楽で、この教会で演奏されるということにはまさに
強い因縁を感じる。

チェロを担当していたのはシュターツカペレ・ドレスデン(SKD)の
首席奏者でもあったヤン・フォーグラーで、彼が音楽をリードしてい
たと思われる。シュトラウスのいつ果てるとも知れない音楽の流れの
“永遠”が印象的だった。この一曲だけで十分に堪能したのだった。

なお音響であるが、教会らしく(?)響きが多すぎて風呂場で聴いてい
るようだった。なのでオルガンの演奏は聴いてみたいが、コンサート
となると二の足を踏みそうなのだ――今月の初め『パルジファル』の
第一幕がダニエレ・ガッティの指揮
でSKDによって演奏されたが、
これが“天国の響き”だったのだそうである――。
                            [続く]

↓右の建物は教会再建後に建てられていた
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