芝話§平成中村座『忠臣蔵』Bプロ<Ⅰ>

16時45分開演で、はねたのが21時ちょっと過ぎ。Bプロは、五段目~
七段目と十一段目の討入り。

勘三郎の勘平は、狭い芝居小屋の空間で濃密な表現を見せてくれる。
特に与市兵衛の遺骸が運ばれてからの苦悶に満ちた芝居は息詰まるも
のがある。今現在一番の勘平役者であることは言わずもがなである。

さて七段目『一力茶屋』では、中村座初登場の仁左衛門の由良之助が
登場する。もちろん舞台姿は文句のつけようがない。確かに吉右衛門
とか團十郎の由良之助に比べれば線は細い。ではあるが、一力茶屋で
放蕩三昧という艶やかさは十分に感じられた。

孝太郎のおかるは、少しばかり窮屈な印象。加えてこの日はハプニン
グがあった。由良之助が読む書状を鏡に映して読もうとする場面で、
簪(かんざし)がずいぶんと早く落ちてしまった。それも舞台床に落ち
ずに手元に落ちたのを孝太郎が手で払い落としてしまったのだった。

さてどうするのだろうと思って見ていると、義太夫の“おかるが簪ば
ったり”のタイミングで附け打ちが軽く“カラリン”と打ったのだ。
それで由良之助がおかるの方に向き直るという流れになっていった。
こういう臨機応変な処理が歌舞伎というものなのだろう。
                            [続く]

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