芝話§平成中村座『忠臣蔵』Bプロ<Ⅱ>

[承前]

橋之助の平右衛門は、一本調子で単調に感じられてしまった。最初に
見た平右衛門が團十郎でだから、ああいう格の役者が演じるとおもし
ろいものだということを思い出した。だから橋之助も肩の力がもう少
し抜ければいい味が出るだろう。

ところで床下の斧九太夫を刀にかけるのに、今まで観た舞台は由良之
助とおかるが舞台上に下りて九太夫を刺すというものだったが、今回
は、座敷から床下に刀を突き通すというやり方だった。

これで思い出したのはモーリス・ベジャール振付けの『ザ・カブキ』
の同じ場面である。今回と同様に座敷から――バレエ版では九太夫で
なく鷺坂伴内が床下にという演出に変わっている――刺されるように
なっていた。ベジャールが観た仮名手本は、だから今回のと同じ七段
目だったのだろうと想像できるが。これは上方の型なのだろうか。

討入りから引揚げの場面では、勘三郎の服部逸郎が馬に乗って登場。
勘平が終われば帰れるところを相変わらずのサービスである。

ただし、座組が薄くて、普段はあまり女形をしたことのないだろう小
三郎が、しかも老け役のおかやを演じているあたりは、観ていて具合
が悪い。本人も勝手が違っているような雰囲気を漂わせている。同じ
場面に手練れの女形脇役の歌女之丞がいるのも具合を悪くしていた。

それこそ源左衞門四郎五郎という中村屋のベテラン脇役を相次いで
失った穴が埋めきれていないようにも思う。

それでもって今週末はCプロに行くのだ。
                            [続く]

【去年の今日】中話§一年前は台北にいたさー[七]誠品書店

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