憬話§このたびの旅[38]パルジファル<Ⅰ>

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↑この風景が舞台上に再現。プロンプターボックスが手前の墓に変身した

[承前]

★Bayreuther Festspiele★
Parsifal 16:00-22:40 28.08.2008

『トリスタンとイゾルデ』に続いて『ニュルンベルクのマイスタージ
ンガー』までも“スカ!”を掴まされ、相当にフラストレーションが
溜まったのは紛れもない事実である。少なくともこの2演目は、チケ
ットをただで差し上げますと言われようが、飛び切りの指揮者と歌手
を揃えましたと言われようが、二度と観るつもりなどない。

そしてこの日、2008年のバイロイト音楽祭も最終日の公演を迎えた。
実は、この最終日のチケットが取れるかどうかわからず、年明けまで
持ち越してしまったが無事に確保することができたのは僥倖だった。
もし『パルジファル』のチケットが確保できなかったとしたら、不満
だらけの6演目の不快さを抱えてバイロイトを去っていただろう。

そして、我々は『パルジファル』の舞台において“プロの演出家”と
“お嬢さん芸”の残酷なまでの質の違いを確認することができた。

まずもってシュテファン・ヘルハイム(Stefan Herheim)の、力技とも
いうべき舞台に度肝を抜かれた。ここまでやられてしまえば納得する
しかなく、それまでに観た6演目の惨憺たる舞台状況をかなり払拭し
てもくれたのである。

というわけで、今年が新演出だった『パルジファル』は、今回唯一の
リピートして観る価値のある舞台であったのだ。

第一幕の舞台は第一次大戦直前のヴァーンフリート荘の内部と外側。
プロンプターボックスをワーグナーの墓に見立て、本舞台にはヴァー
ンフリートが静かに佇んでいる。

前奏曲が流れる間に建物の内部での出来事が黙劇で進行する。それは
“ヘルツェライデ”が“パルジファル”を産み落とそうとする刹那。
内部と外部と、時間と空間の思いがけない交錯が、この演出の大きな
眼目でもあるようだ。
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