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zoom RSS 米話§R氏とC氏〜二人の老アメリカ人〜

<<   作成日時 : 2008/10/24 12:03   >>

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80歳を超えているR氏とC氏は、オペラ好きのアメリカ人である。す
らりと長身のR氏と、ちょっと小柄で飄々としたC氏を見ていると、
シャーロック・ホームズとワトソンのコンビを彷彿とさせる。

初日『ラインの黄金』の時の印象は悪かった。上演中ずうっと我々の
背もたれが彼らの膝で押されていたのだ。何という行儀の悪い……と
同居人は憤慨し“ワルキューレの時に落とし前をつけちゃる!”と言
い放ったのだった。

そして『ワルキューレ』の当日である。一幕が終わり、同居人が席を
立って彼らに向き直ったところで、彼らのあっぱれな一言……。

今日のあなたはとてもエレガントだ

しっかり機先を制された格好になってしまった同居人――確かに気合
の入った身繕いをしていたのだが
――は、オードリー・ヘップバーン
が演じる『マイ・フェア・レディ』のイライザを彷彿とさせる……

・・・スァンキュゥ・ソゥ・ムァッチ!

と慌てふためいた返事を返したのだった。こういうあたり欧米人男性
の女性を懐柔するテクニックは巧みであると二人して舌を巻いたので
ある。それで“膝”の件だが、180cmを超えるかというR氏の長い
脚が座席と狭い通路の間で窮屈そうに折り曲げられているのを眼にし
たら、しようがないと思った。ちなみに、膝と背もたれの間にはバイ
ロイト名物の座布団がサポーター代わりにあてがわれていたのだ。

というわけで『マイスタージンガー』以外の6公演で、彼らに会わぬ
ことはなく、休憩時には頻繁に話をしたり、祝祭劇場をバックに写真
を撮りあったりと賑やかに遊んでくれたのである。あるいは、街の散
策中にもばったりと出会った時には、いいカフェを教えてやると誘わ
れて、一緒にお茶を飲んだりもした。

彼らについてだが、二人が同居中ということ、C氏が初夏に大手術を
していて体力的に不安はあるが、この先を考えたうえでの思い切った
旅行であること……そんなことを話してくれた。

それにしても不思議なのは、オペラ好き――アメリカのワーグナー・
ソサエティの会員でもある
――であるにもかかわらず、ドイツ語を解
さないということ。バイロイトのような場所で観察をしていると、日
本人はもちろんだが、アメリカ人とイギリス人の多くもまた母国語で
しかコミュニケーションが取れないことがよくわかった。あのフラン
ス人ですら、英語あるいはドイツ語で会話を試みようとしているのに
である。

『パルジファル』の二幕が終わった休憩時間での最後の挨拶を、最近
ようやく慣れてきた“ハグ”でかわし、別れを惜しんだのだ。

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