隠話§ヴォルフガンク・ワーグナー退任

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↑バイロイト地元新聞によるヴォルフガンク退任報道

……『パルジファル』のカーテンコールが続いていた。

歌手や指揮者の出入りがひとしきりあって、幕が開くといつもながら
のラフな服装のオーケストラメンバーが勢揃いして、盛んな拍手を浴
びていた。

それからややあって再びカーテンが開くと、下手にヴォルフガンク・
ワーグナーが登場。だいぶ足腰が弱っているようで椅子に腰掛けての
バイロイト音楽祭総監督退任の挨拶――スピーチなどはなし――が行
なわれた。周りにはカタリーナでありエファ・パスキエといった娘達
と関係者数人が取り囲む。

客のほとんどは帰ることなく、盛大な拍手で――様々なあれやこれや
は措いて
――ヴォルフガンクを労い、別れを惜しんだのである。

その後、9月冒頭に開かれた理事会でカタリーナーとエファ・パスキ
エの二頭体制が承認され、モルティエを擁したニケ・ワーグナーは退
けられた。……これはもう“どっちもどっち”だろうと遠い日本から
傍観していた。一つだけ付け加えるなら、モルティエの起用はないだ
ろうと思った。

以前のパリ・オペラ座日本公演の時に感じたのだが、モルティエとい
う人物の狡猾さのようなものが見えてしまうのと、どうもオペラなど
への“愛情”のようなものが感じられないのである。ザルツブルクの
監督をしていた時も、意欲的な企画運営を目論み、それなりの成果は
修めたものの観客数を減らしてしまっているわけで……。

モルティエがバイロイト音楽祭をどう運営したいと考えたのかはわか
らないが、どうも彼の方向性が尖鋭化しているように感じられてしま
う。それで、チケットは取りにくいにしてもワーグナー上演に限定さ
れているバイロイト音楽祭のような性質のものとは温度差があるよう
な気もする。

いずれにせよバイロイト音楽祭は、現状維持という“無難な選択”を
したわけだが、さてこの先もすんなりと新体制が継続できるものだろ
うかと、シベリアを越えてはるばるやって来た巡礼者は考えているの
である。

【去年の今日】中話§一年前は台北にいたさー[再見]謝々!

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