憬話§このたびの旅[53]ミヒャエル・フォレ

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↑バイロイトの書店で催されたサイン会にて

[承前]

バイロイトの“テリブルでクレージー”な『ニュルンベルクのマイス
タージンガー』
の舞台で、一人だけ気を吐いていたと感じられたのが
ベックメッサーを歌ったミヒャエル・フォレだった。声も姿も押し出
しが強いので、バリトンの主要な役をどんどん歌ってくれるだろう。
活躍が楽しみである、

そんな彼のリーダーアーベントに出かけた。本当はディアナ・ダムラ
ウのリサイタルだったのが、彼女がMETに出演することになってし
まいキャンセル。代役としてフォレがステージに立ったのだった。

プログラムはシューベルトとマーラー。ピアノ伴奏はヘルムート・ド
イチェ。

Michael Volle
Helmut Deutsch

2008.09.01

Franz Schubert:Der Taucher
Gustav Mahler:"Lieder eines fahrenden Gesellen"

--PAUSE--

Franz Schubert:Drei italienische Gesänge D902
L'incanto degli occhi, Il traditor deluso,
Il modo di prender moglie

Gustav Mahler:
Lieder nach Gedichten aus "Des Knaben Wunderhorn"
Rheinlegendchen, Um schlimme Kinder artig zu machen,
Des Antonius von Padua Fischerpredigt, Das irdische Leben,
Nicht wiedersehen, Revelge


一曲目が初めて聴くシューベルトの『潜水夫』で、これが20分になん
なんとする長大なリート。……『魔王』よりも長いリートがあるのだ
と知ったのだが、これはリートを歌う表現力に+αがないと歌いきれ
るものではないだろう。休憩後の“三つのイタリア語の歌”は、オペ
ラのアリアのようなリートなので、本人もリラックスして歌っていた
ように感じられた。

マーラーの“さすらう若者の歌”と“子供の不思議な角笛”は、それ
ぞれ、時に表現がオペラチックになってしまうが、声のコントロール
が行き届いているので大きな不満を感じるわけではない。

オペラ歌手としての仕事がメインだから、リートの表現というよりは
オペラチックな歌い方になってしまうのは仕方がないところだが、そ
れでも主張がないよりは、あったほうがよほどましである。いずれ年
月を経れば表現も熟してくる。フォレにはそういう可能性がありそう
な気がするのだ。というわけでこの先注目することにしているのだ。
                            [続く]

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