夢話§指環~シェロー&ブーレーズの~

クラシック関連で“もしもタイムマシンがあったなら”として、その
現場に行ってみたいというものは数多い。20世紀だけに限定しても、
例えばストラヴィンスキー『春の祭典』の初演の騒動現場とか……。

戦後に限ってのささやかな願いは二つ・・・もっとあるけれども……

カラヤンが指揮したオペラを観る

1976年バイロイト音楽祭の『指環』を観る

どちらも映像は残っていて追体験することはできるが、実際の空気を
感じたいのである。過去に戻ることが可能であるならば、パトリス・
シェローが演出してピエール・ブーレーズが指揮した、バイロイト音
楽祭100年の年、1976年にプレミエ上演された『ニーベルングの指
環』を観たいのである。

それまでのワーグナー上演でも読み換え演出らしきものはあったのだ
が、ライン河を堰き止めるダムに住み着いているラインの少女を“売
春婦”に見立てるという設定を、ワーグナーの聖地で観ようなどとは
思ってもいなかった観客の、戸惑いや怒りはいかばかりだったかと思
うのだ。

そして、警官隊まで出動したという当時の騒ぎの真っ只中に自分を置
いたとしてどのようなことを考えたりするだろうかという興味なので
ある。

もちろん、後になって時代を遡っても、その当時の人間が受けたのと
まったく同じような感慨とかを持ち得るはずなどはなく、単にその現
場に身を置きたいという好奇心が勝っているだけなのだが、いまだに
1976年当時に何の意味もわからずに単にスキャンダラスな状況が起き
ていた、そんな刺激がいったいどういうものなのかを知りたいという
思いだったりするのだ。それは、その当時のワーグナー演出受容がど
ういうものだったかを示すことにもなるだろう。

憬話§我々の“バイロイト音楽祭”2008.08

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