笛話§オーレル・ニコレのブランデンブルク

FMのスイッチを入れると、ブランデンブルク協奏曲第5番の端正な
演奏が流れてきた。全体も緩みがなくて、もちろん古楽器のようなエ
キセントリックさもない。

さて誰かなあと曲が終わるのを待っていたら、フルートを吹いていた
のはオーレル・ニコレで、我が家にも録音があるリヒター盤だった。
そういえばずいぶんと聴いていないことに気がついた。

そうして久々にニコレのブランデンブルクを聴いたわけだが、決して
重くならず、かといって軽いわけでないのはもちろんで、フレージン
グの息遣いの中に緊張感を孕みつつも、人間的な温かみが感じられる
のである。

ずいぶん長いこと古楽器演奏への興味が持続していたのだが、最近は
少しばかり古楽器による演奏を聴くのがしんどくなってきた。古楽器
演奏の解釈が行き着いてしまったかどうかはわからないが、正直なと
ことは、あの手の突っ込みに食傷しつつある自分がいるのだ。

なので30年以上も前の録音になるであろうニコレのような演奏を聴く
ことで、予定調和による精神的安定を得ることの重要さに改めて気づ
かされる。

時に奇矯な解釈を聴くのも悪いことではなく、ああそういう演奏もあ
るのだと認識するのは必要なのだが、乏しい受け容れキャパシティし
か持っていない凡人には、思い切った取捨選択が必要になることもま
たあるのである。

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