色話§エマニュエル・パユのバッハ無伴奏

ベルリンフィル首席フルートのエマニュエル・パユが吹く、バッハの
無伴奏フルートのパルティータ(a-moll BWV1013)の録音を聴いた。

常に自分自身の頭の中にあるのはオーレル・ニコレの演奏なのだが、
パユの録音を聴くのは初めてのこと。

それで、例えて言うならニコレの演奏が蒸気機関車だとすると、パユ
の演奏は超特急というくらいの違いがあるように感じたのだ。ニコレ
のフルートを聴いて思い浮かべるのは“不器用”というもので、それ
がある意味では彼の演奏の誠実さを象徴しているような気がしないで
もない。

パユの演奏だが、基本的なアーティキュレーションはニコレとおよそ
同じ――大抵のフルーティストは大体そんなもの――なのだが、ニコ
レに感じたような“ひっかかり”とでもいうようなものは存在せず、
スムーズに音楽が流れていくのである。欲を言えばもう少し音に芯の
ようなものがあればとは思うが、これもまた20世紀後半の演奏という
ことなのだろう。

ニコレとパユ、二人ともスイスのフランス語圏出身でありながら、ベ
ルリンフィルで吹いていたし、今現在、首席で吹いているというのが
興味深い。

【去年の今日】器話§懐かし音楽会場[了]最後に

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