維話§初めてのウィーン[5]旧市街へ

[承前]

ホテルを出てほどなく地下道へのエスカレーターがあった。それで下
りていくと、地下道のほぼ中央にガラス張りのカフェが営業をしてい
た。後で聞いたら、通称“金魚鉢”というのだそうな。

そして再びエスカレーターで地上に出ると国立歌劇場が眼前に聳え立
っているのだ。いずれにしてもこの日の夜には、中で『こうもり』を
観ることになっているので、とりあえずは先を急ぐことにして、ケル
ントナー通りを北上した。目指すのは聖シュテファン大寺院である。

のんびりと歩を進めるうち、次第に寺院の巨大な姿が見えてきた。こ
れは壮観であるなどとボーっと見上げるのは、おのぼりさんのお約束
ではないか。さらに近づいて正面の入口から会堂に入っていった。何
やら薄暗いし寒々とした空間がまた巨大で、それだけで単純に圧倒さ
れてしまい、早々に外に出たのだった。

外に出てガイドブックを見ると、寺院の裏手に“フィガロハウス”な
る記念館があるということがわかったので、これまたとりあえず向か
ってみることにした。煤けた空には煤けた建物が似合うかどうか……
モーツァルトの時代からこうだったんだろうなあと想像できる裏ぶれ
加減満点の界隈だったりする中にフィガロハウスの入口を見つけた。

確か入場無料だったような記憶もあるが、中の展示物自体にもさほど
そそられるものはなく、いくつかの部屋をざっと一回りしてあっさり
辞去した。というところで腹も減ってきたのだが。
                            [続く]

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